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概要

本センターの目的

量子生命構造創薬センターは、生命機能の要となる膜タンパク質を主な標的として、量子生命科学と構造生物学の最先端知見を融合し、創薬の基盤技術開発から医薬品候補の創出・社会実装までを一体で推進する全学組織です。基盤研究部門と社会実装部門が相互に連携し、学内外の研究者・機関・企業と協働しながら、アカデミア発の創薬を加速します。

図1:基盤研究部門と社会実装部門の連携

背景:膜タンパク質創薬のボトルネック

膜タンパク質は受容体や輸送体などとして生命活動に不可欠であり、医薬品の多く(およそ6割以上)が膜タンパク質に作用して効果を示すことが知られています。一方で、膜タンパク質は一般に不安定で精製が難しいなどの理由から、構造解析や創薬研究の大きなボトルネックとなってきました。

これまでの取り組み:膜タンパク質研究センターの設立と基盤技術(Key1–5)

千葉大学理学研究院では長年、膜タンパク質に焦点を当てた基礎研究を推進し、研究を加速するための独自基盤技術(Key1–5)を整備してきました。これらの成果を基盤に、令和3年に「膜タンパク質研究センター」を設立し、多剤耐性菌や新型コロナウイルス等に対する阻害剤候補など、複数の創薬シーズ創出につなげてきました。

全学センターへの改組:量子技術との融合 “シーズから候補へ”

アカデミア創薬を社会実装につなげるには、シーズ創出に加えて、候補化までを可能にする技術と体制が不可欠です。そこで本センターは、千葉大学に近接するQST量子生命科学研究所との連携を軸に、学内の免疫学・ワクチン学研究や関連研究分野とも結び、令和7年4月1日付で全学センター(量子生命構造創薬センター)として改組しました。

本センターでは、官学連携により導入される最先端の量子技術と、千葉大学が培ってきた膜タンパク質研究の基盤技術を融合し、世界の創薬研究手法に変革をもたらす創薬技術群の構築を目指します。これにより、医薬品シーズを医薬品候補へと磨き上げ、さらに企業連携を通じて社会実装へつなげます。

図2:産学官連携による創薬推進体制とKey1–9

研究・開発の中核技術(Key1–9)

本センターは、標的となる膜タンパク質を中心に、以下の技術群を体系化して推進します。

[基盤技術:Key1–5]膜タンパク質創薬を加速するためのコア技術

  • Key1:独自理論計算に基づく膜タンパク質の耐熱化変異体作製
  • Key2:膜タンパク質の迅速精製
  • Key3:薬剤シーズとなる化合物探索
  • Key4:抗体医薬シーズとなる機能性抗体作製
  • Key5:膜タンパク質の立体構造決定

[創薬プロセス拡張:Key6–9]候補化と薬効検証を担う技術

  • Key6:薬剤設計
  • Key7:組換え抗体医薬設計
  • Key8:細胞薬効評価
  • Key9:動物薬効評価

体制:基盤研究部門と社会実装部門の両輪

  • 基盤研究部門:革新的な基盤技術の開発、医薬品候補の創出、官学連携大学院コース(量子生命科学コース)による人材育成
  • 社会実装部門:創薬企業等とのクロスアポイントメント、医薬品候補の企業導出、企業との共同開発の推進

両部門が往復することで、研究成果を「論文」だけで終わらせず、「候補化・導出・共同開発」へとつなげる推進力を生み出します。

目標とロードマップ

本センターは、産学官連携の強化と技術群の統合により、複数の医薬品候補を企業へ導出し、新規医薬品の創出につなげることを目標とします。

期待される成果・効果

本センターの取り組みにより、がん、心疾患、脳血管疾患、および糖尿病・高血圧症・高脂血症などの生活習慣病領域で重要な作用点となる膜タンパク質を標的として、以下が期待されます。

  • ヒト膜タンパク質に関する独自技術と最先端量子技術の融合による、革新的創薬技術群の確立
  • 医薬品候補の継続的創出と、創薬研究手法への波及(国際的な研究開発の加速)
  • クロスアポイントメント等を通じた企業連携の拡大、アカデミア発・日本発の新薬創出の促進
  • 量子生命科学コース」を通じた、量子技術と創薬の幅広い知識・技術、ならびに連携を牽引するコミュニケーション能力を備えた研究者の育成
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