量子生命構造創薬センター 千葉大学大学院理学研究科附属

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cQUESTシンポジウム「膜タンパク質内部のイオン透過を考える」

開催概要・申し込み

2025年12月10日(水)13時~11日(木)11時40分 
千葉大学柏の葉キャンパス バイオヘルス・オープンイノベーション・ハブ A棟セミナー室 
  • シンポジウムはどなたでも無料で参加していただけます
  • 下記リンクから参加登録、および情報交換会(懇親会)への参加の有無をご登録ください(11月30日締め切り)
    ==> 12月5日 12:00まで延長します
  • 飲食の準備の事情により、お早めの登録をしていただけると大変助かります。
  • 情報交換会(懇親会)は会費制とさせていただきます(一般: 4000円, 学生: 1000円)
  • ページ下部に「補足」として連絡事項などの項目を追加しました

▶ 申し込みフォームはこちら

シンポジウムの目的

 本シンポジウムは 2015 年開催の「膜タンパク質内部のプロトン透過を考える」を継承し、過去 10 年で得られた構造・計算・時間分解計測の成果を総括して、各膜タンパク質内部におけるイオン透過機構の理解を共有することを目的とする。クライオ電顕や時分割結晶構造解析、精密 MD/QM-MM シミュレーションの進歩により、各膜タンパク質における多様なイオン輸送経路と選択性フィルターが定量的に可視化できる時代に入った。本研究会では、各膜タンパク質におけるプロトンとその他イオン透過の相違・共通点を俯瞰し、

 ① Grotthuss 型ホッピングと脱水・再水和過程のエネルギー論的対比
 ② 駆動イオン選択の進化的意義と人工改変の可能性
 ③ 未解決課題の整理と今後 10 年の研究指針提示

を主要目標とする。実験と理論の研究者が一堂に会し、多階層データを統合して「膜タンパク質内部イオン透過の本質」に迫る場を提供したい。

討論内容

研究会は四つのテーマ別セッションで進行し、最後に総括として横断総合討論を行う。

1: 膜チャネルにおけるイオン輸送について 膜チャネル---Na⁺ チャネルと H⁺ チャネルを対比し、結晶構造と動態解析から Grotthuss ホッピングとイオン脱水・再水和のエネルギー差を検証する。人工チャネルの MD 計算も取り入れ、透過メカニズムの普遍原理を探る。
2: 光駆動性ロドプシンにおけるイオン輸送について 光駆動性ロドプシン---H⁺/Na⁺/Cl⁻ ポンプ・チャネル型ロドプシンの輸送能、輸送の向き、構造多様性を整理し、光刺激後のイオン透過経路を時分割結晶解析や先端的分光計測、電気生理学的計測、高精度MD 計算で可視化することで、光エネルギー変換によるイオン輸送過程を比較する。
3: イオン輸送性ATPase(F, V, P)におけるイオン輸送について イオン輸送性ATPase--- H⁺ 輸送性およびNa⁺ 輸送性 V-ATPaseの構造・機能解析結果を起点に、イオン結合サイトの協調運動を MD 計算と結び付けて議論する。さらに、H⁺/K⁺ およびNa⁺/K⁺ 輸送性 P-ATPaseの構造・機能解析結果を手掛かりに、H⁺ 排出と K⁺ 取り込みがどう協調するかを議論する。
4: 鞭毛におけるイオン輸送について べん毛モーター---H⁺ 型と Na⁺ 型モーターにおけるステーターの構造をもとに、イオン透過経路について議論する。べん毛タンパク質輸送装置においてもイオン透過は機能に必須であり、同様に議論する。また、ステーターとローターとの相互作用から、べん毛モーターにおけるイオン駆動力のエネルギー変換についての知見と課題を整理する。さらに、MD 計算を通じてイオン駆動変換の普遍メカニズムと人工的切替の可能性を議論する。
横断総合討論 横断総合討論では、プロトンホッピングとイオン脱水バリアの普遍性・多様性、イオン選択スイッチの進化的意義と工学的限界、高時空間分解能実験とマルチスケール計算の統合、医薬・バイオエナジー・ナノテクへの応用展望を総括し、未解決課題と新たな共同研究テーマを抽出する。

プログラム

12月10日(1日目)

13:00 はじめに 村田武士(千葉大)[5分]

セッション1:膜チャネルにおけるイオン輸送について

座長: 宮田真人(大阪公大)、神取秀樹(名工大)

  • 13:05 入江克雅(和医大)[25分]「原核生物由来ナトリウムチャネルの選択性フィルターで見られた多彩なイオン透過特性の変化」
  • 13:30 藤原祐一郎(広島大)[25分]「プロトン透過制御の分子基盤:Hv1 チャネルによる膜を介した電位・H⁺濃度勾配の二重センシング」
  • 13:55 池口満徳(横市大)[25分]「人工イオンチャネルの分子シミュレーション」
  • 14:20 総合討論[15分]

14:35 休憩[5分]

セッション2:光駆動性ロドプシンにおけるイオン輸送について

座長: 林重彦(京大)、錦野達郎(名工大)

  • 14:40 井上圭一(東大)[25分]「微生物ロドプシンのイオン輸送におけるプロトンの役割とその不思議」
  • 15:05 古谷祐詞(名工大)[25分]「光駆動プロトンポンプの分子機構と水和イオン液体について」
  • 15:30 菊川峰志(北大)[25分]「光駆動型H+ポンプとCl-ポンプの輸送経路の相違—Cl-ポンプの解析から」
  • 15:55 辻村真樹(理研)[25分]「クロライドポンプロドプシンのプロトンポンプへの機能転換」
  • 16:20 総合討論[15分]

16:35 休憩[5分]

セッション3:イオン輸送性ATPase(F, V, P)におけるイオン輸送について

座長: 吉田賢右(京産大)、飯野亮太(分子研)

  • 16:40 岡崎圭一(分子研)[25分]「Voモーターおよびトランスポーターによるイオン輸送のMDシミュレーション」
  • 17:05 大友章裕(京大)[25分]「Enterococcus hirae 由来V-ATPase変異体におけるNa⁺依存的な非対称 H⁺輸送阻害に基づくイオン輸送機構の理解」
  • 17:30 安田賢司(千葉大)[25分]「回転角で制御される Vo モーターの Na+結合・放出機構の分子シミュレーション解析」
  • 17:55 阿部一啓(北大)[25分]「P2-type ATPaseによるH⁺ とNa⁺ の特異性についての考察」
  • 18:20 総合討論[15分]

19:00 情報交換会[2時間]

12月11日(2日目)

セッション4:鞭毛におけるイオン輸送について

座長: 難波啓一(阪大)、本間道夫(名大)

  • 9:00 小嶋誠司(名大)[25分]「イオン流を回転力に変換する細菌べん毛モーターのエネルギー変換ユニット「固定子」の分子解剖」
  • 9:25 南野徹(阪大)[25分]「プロトン流に共役したべん毛蛋白質輸送のしくみ」
  • 9:50 北尾彰朗(科学大)[25分]「分子シミュレーションで観た細菌べん毛固定子中のイオン透過」
  • 10:15 総合討論[15分]

横断総合討論

10:30 横断総合討論[60分]

座長: 村田武士(千葉大)、飯野亮太(分子研)、錦野達郎(名工大)

討論参加者(五十音順):
神取秀樹(名工大)、難波啓一(阪大)、林重彦(京大)、本間道夫(名大)、宮田真人(大阪公大)、吉田賢右(京産大)+講演者全員

11:30 おわりに 村田武士(千葉大)[5分]

11:35 写真撮影

アクセス

会場:千葉大学 柏の葉キャンパス バイオヘルス・オープンイノベーション・ハブ(BIH)

  • シンポジウム会場: セミナー室1,2,3,4
  • 情報交換会会場: オープンスペース および カフェスペース
  • 会場ウェブサイト: https://chiba-u-connect.com/BIH

補足

連絡事項・ミニ情報

  • シンポジウム会場ではeduroamが利用可能です(そのほかに利用できるFree Wi-Fiはございません)
  • 1日目の受付では、名札の配布、情報交換会会費の徴収、領収証のお渡し、名簿チェック等を行います
  • シンポジウム会場のセミナー室は飲食禁止です。ご協力のほどお願い致します(ペットボトルの水等はOK)
  • 情報交換会(懇親会)が21:00に終了した後、同会場で二次会を計画しています。尽きない議論をお楽しみ下さい(缶飲料・つまみなどを準備する予定です)
  • ランチ情報: ららぽーと柏の葉 グルメマップ
  • コンビニ情報[TX柏の葉キャンパス駅併設]:ファミリーマート TX柏の葉キャンパス駅店

↓↓↓シンポジウム直後に、【生体エネルギー研究会 第51回討論会】にも参加される方用の情報↓↓↓

内容更新

  • 随時ご講演タイトルを追加しています。
  • 「補足」を追加しました。シンポジウムに関わる連絡事項や情報、本webページの更新記録等を追記していく予定です [2025.11.13]
  •  参加登録締切を延長しました [2025.12.1]

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